何かの評価を上げるために、何かの評価を下げるような文章は、読みたくなぁい〜
(尾崎豊の歌声で)
書いちゃってるっぽいけど。
陥りやすい罠だわな。
6/25【7】
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダー・バース』(ホアキン・ドス・サントス&ケンプ・パワーズ&ジャスティン・K・トンプソン監督)を観た。
前作以上の凄まじい映像体験。この臨場感!アクションのカッコよさ!雨の鋭さ!
コミックのコマ割りみたいな表現は前作より減っていて、動きで魅せるシーンが増えていた。キャラ数の増加に合わせて、コミック特有のテクスチャー表現の種類は増やして、世界を描き分けていた。
成長したマイルスが対面する問題は前作より複雑で、向き合う世界の在り方も複雑になっていて、それはそのまま人間の成長をなぞっている、と感じた。
一応の解決に向かうカタルシスも作りつつ、最後にクリフハンガーを持ってくる脚本もよく出来てた。次作もちゃんと気になる。
5/29【6】
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』(ジェームズ・ガン監督)を観た。
泣いた。隣で観てた息子も泣いてた。ロケットの出世の秘密が悲し過ぎる。可哀想過ぎる。
全編通して以前ほど目新しさは無くて、シリーズの終わり時だったのかもしれないが、例えば、有機物を成長させて作った惑星(?)のビジュアルは見たことないヤバさだった。原作通りなのだろうか。『宇宙船レッドドワーフ号』みたいなコメディドラマっぽい設定だった。
ワンカット風で仲間たちがうまく連携しながら共闘するシーンもちゃんとアガる出来だった。こんなにカメラが行ったり来たりするワンカットも珍しいが、最近の特撮戦隊シリーズに似ていた。
一番気になったのは、スター・ロードの顛末だった。血縁関係に囚われない最高の仲間を手に入れたんじゃなかったのか、という疑問が頭から離れなくて、少し辛かった。
息子の要望に合わせて吹替で観たのだけど、山ちゃんの声が山ちゃん過ぎて、最初、話に入れなかった。
4/23【5】
『劇場版名探偵コナン 黒鉄の魚雷(サブマリン)』(立川譲監督)を観た。
ずっと笑ってた。今回も、実写じゃないという利点を最大限使って、トム・クルーズを超える方向性でのアクションシーンを目一杯盛り込んでいた。
まず、蘭がホテルの2階 or 3階から飛び降りて、そのままの勢いで黒ずくめの組織のメンバーと殴り合ってたのを見て爆笑。その流れでのカーチェイス、夜の海へのダイブ、潜水艦登場という怒涛の展開はハリウッド超大作並だった。
八丈島の観光協会とかとタイアップしてるんだろうか。前にシンガポールともそんなことして作った映画があったはず。しかし、必ず事件が起きることはロケ地にプラスか?
キャラ同士の関係性を楽しむ映画としても最大限の無茶をしていて、そういうのが好きなら灰原とコナンのカップリングの楽しさを堪能できたはずだ。
OPで『BLUE GIANT』の監督だと気づくと、ぐわんぐわん動くカメラと、ちょっと微妙な動きをするCGモブキャラが目を惹いた。避難する人々はもっとバラバラに動くと思うんだ。
3/30【4】
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエルズ監督)を観た。
最高級のB級映画!!!一見わけのわからない最高のアイディア達をまとめ上げ、馬鹿げたジョークや下品さを感動的なシーンに散りばめたりしながら、悲しみも喜びもすべて一度に見せつけてくる凄まじい脚本。そんな複雑になり過ぎてる脚本を、可能な限りわかるように映像化するその編集と演出の手腕。とにかくその情報量に驚く。
『マトリックス』からの引用や、『2001年宇宙の旅』のパロディを織り交ぜるセンスにはニヤニヤできたが、引用・パロディ・オマージュの数が多過ぎてパンフレットでようやく確認できたくらいだった。
監督の過去作『スイス・アーミー・マン』はもっとMVっぽいシーンがあったし、よりストレートな下品さだったけれど、今作はそのテイストを残しつつ洗練させていた(このメジャー感の功労者はルッソ兄弟なのかな、と勝手に推測している。憶測に過ぎないが)。
マルチバースが折り重なる表現として、目の位置を合わせた人物の正面カットを、連続でフラッシュライトみたいなスピードで繋ぐ表現に驚いた。その音がメロディを奏でていて、なおかつ、そのメロディが中華風だった。この斬新なアイディアと文脈の確かさが衝撃的だった。
3/19〜3/30【3】
『ジャック・リーチャー 〜正義のアウトロー〜』(シーズン1)を Amazon Prime Videoで観た。
『町に現れた流れ者が、時に法を無視して悪を罰する』というところを取り上げると、西部劇や時代劇とかでも見かける典型的なアウトローヒーローだ。
同じ主人公を原作とするトム・クルーズの映画『アウトロー』が好きで観たので、どうしても比較しながら見ることになったのだが、ああ、このドラマの主人公の方が原作に近そう、というのが第一印象だった。
まず、信じられないくらいマッチョな巨漢。その方が設定に無理が無いように感じられた。彼が悪を徹底的に懲らしめる姿が痛快なのだけど、彼が探偵でもあるところがこの作品の最大の特徴であり魅力だろう。
同時に、他者に対して感情を見せないドライで非人間的なキャラクターなのだが、その部分はトム・クルーズ版の方が強い。トム・クルーズのリーチャーのように、相手の話を聞かずに遮る描写は少なかった。もっと落ち着いていた。それに、ロスコーとは明確に恋愛感情を持つし、少年時代の回想や親しい者の死を悼む姿など、だいぶ人間味が増していた。
アクションシーンがド派手かつ細かい動きが多くて、かなりこだわって作られていた。
有害な男性性に陥らないギリギリを綱渡りしているように見えた。
『俺ツエー』『ざまー』みたいな感情をジャンクに楽しむのは、縦読み漫画や異世界転生モノなどだけでなく、こういう作品も源流にあるのか、と途中で気づいた。
そして、なぜ母親から彼だけがファミリーネームで呼ばれていたのか、はずっと不思議だった。続編でわかるのだろうか。
2/26【2】
『BLUE GIANT』(立川譲監督)を観た。
総じて、原作の持っているアツさをうまく翻案した青春映画になっていた。
それにしても、手描きの部分は良いんだけど、3DCGで動くテクスチャーがツルツルの演奏者はゲーム映像みたいに動いていて、作品にとってめちゃくちゃノイズだった。逆説的に『THE FIRST SLUM DUNK』の達成した偉業を改めて実感した。
音楽がとにかく良かった。良い音響で聴いて正解だった。原作を読んでいたので、これ盛り上がるのか...?と思っていたラストシーンも映画的改変が非常に上手くて、良い脚本になっていた。
最後に演奏する音楽は暗過ぎても明る過ぎてもおかしいよな、と思っていて全く想像できていなかったが、とても真摯に演奏された音楽を聴いて納得した。
演奏の最中に回想が挿入される構成も『THE FIRST SLUM DUNK』を連想させた。
声優も良くて、3人はとても上手かった。
演奏中に観客がちょっとサイケな感覚を得る映像からは、『ミスター味っ子』で味王がご飯を食べた時の過剰なリアクションを連想した。
1/25〜2/2【1】
『ONI』リミテッドシリーズ(原作・制作 堤大介)をNetflixで観た。
ヤバいクオリティ!え、ストップモーションじゃないの…?フルCGをストップモーションっぽくコマ落ちさせてるのかな。それによって、CG特有の動きの違和感を無くしてた。
自然の風景の美しさは実写を超えてて凄かった。
全4回だったのだけど、脚本に毎話次が気になるクリフハンガーがあって、とてもNetflixの海外ドラマっぽかった。
単純にキャラクターデザインもかわいらしい。最終話の全ての解決となるシーンは、切なくも楽しくてグッときた。